
僕は限りなくブラックに近い中小企業を退職後、30歳から勉強を始めて約6年で税理士になりました。(詳しい自己紹介はコチラ)
この記事では、税理士の年収を「開業税理士」「勤務税理士」に分けて詳しく解説しています。
実際に僕の周りにいる税理士を参考にしつつ、できる限り「現実的」な金額を書いています。
ぜひ最後までお読みいただければと思います。
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税理士の年収を見るときは注意が必要
よく「税理士の年収」ということで、いろいろなサイトで紹介されていますが、データを見る際には注意が必要です。
税理士の80%が個人事業主
税理士は税理士会に登録することで初めて「税理士」を名乗ることができ、税理士業務を行うことができます。
全国で約8万人近くが税理士会に税理士として登録されています。
その約80%が「開業税理士」です。
開業税理士とは、独立開業した個人事業主の税理士のことです。
そして、全体の約20%が税理士事務所や税理士法人に勤めている「勤務税理士」です。
「年収」と「所得」の違い
税理士がどれくらい稼げるのかを考える際、「年収」と「所得」の違いを知っていないと大きな勘違いを生んでしまうので、ここはよく理解しておいてください。
「年収」とは「1年間の収入金額(売上高)」を意味します。
サラリーマンでいう年収は
総支給額(社会保険料や税金を天引きする前の金額)を指しています。
源泉徴収票でいえば左上に書かれた「支払金額」の部分にあたります。
一方、個人事業主(開業税理士)でいう年収は「売上高」を指しています。
個人事業主の場合
「収入ー経費=所得」がサラリーマンでいう年収に相当します。
なので、「税理士の年収」を検討するときは
であることを理解しておかなければ、誤解を生じてしまうので注意が必要です。
多くのサイトで、この年収の定義が明確に説明されていない場合が多かったので、あえてここで説明させても頂きました。
この記事ではわかりやすくするため、開業税理士の場合は「所得」という表現をしたいと思います。
開業税理士の所得は平均「約744万円」
開業税理士の所得の平均は「744万円」です(第6回税理士実態調査報告書より)。
独立開業している税理士の所得(収入−経費)は正直いってピンからキリまでです!
一般的な開業税理士のメイン収入源は、顧問契約している企業や個人事業主からの「顧問料報酬」です。
これにスポット的に発生する相続税の申告による報酬や、生命保険の代理店としての報酬などがプラスされます。
顧問料は顧問先の「売上高規模」「税理士の訪問頻度」「記帳代行の有無」などによって設定しているところが多いです。
開業税理士の「収入」は下のようになっています。
開業税理士の収入の平均は「約2,205万円」となっています。
税理士の年齢は60歳以上の割合が50%超とかなりご高齢の方が多いです。
定年が無いので、元気であればいつまでも稼ぎ続けられるのが税理士の魅力。
60歳を超えても1,000万円以上の収入を得られる仕事ってなかなか無いです。

出典:日本税理士会連合会
ひとり税理士の年収
税理士業はやり方によっては一人で全部行うことも可能です。
いわゆる「ひとり税理士」です。
では、税理士の所得はいくらくらいになるのでしょうか?
ここでは、法人の顧問を中心とした税理士で考えて見たいと思います。
クライアントが法人であれば、平均的な年間顧問料は1社あたり年間40~60万円て感じです。
この金額はあくまでも僕の感覚です(一応、東京と地方の税理士事務所を合計で10年以上経験しています)
仮に、たった一人で税理士事務所を経営した場合、どれぐらい稼げるのか考えてみましょう。
その人のやり方にもよりますが、1~2カ月に一回は必ずお客さんのところへ訪問するといった、丁寧な対応をするのであれば30~40社ぐらいが限度です。
仮に法人30社と顧問契約したとすると以下の通りです。
- 売上高 30社×50万円=1,500万円/年
- 経費 300~500万円/年
(家賃、ソフト利用料、水道光熱費、通信費、消耗品、交際費など)
ひとり税理士の所得(収入ー経費)は年間1,000~1,200万円くらいになります。
これは、あくまでも参考としてお考え下さい。
と言いますのも、営業のやり方一つとって見ても税理士によって様々だからです。
例えば、僕が知っている税理士は、飲食店に足しげく通い、そこで仲良くなった経営者に営業しています。
年間の交際費はかなりの額になっているそうです。
一方、インターネットを中心とした営業だと交際費はそれほどかからないでしょう。
また、自宅兼事務所とするか、テナントを借りて事務所にするかでも経費が大きく変わってきます。
このように、税理士の経営方針によって売上高、経費、利益の額は千差万別です。
勤務税理士の平均年収は「約700万円」
勤務税理士の平均年収は以下の3つの統計から考えると「約700万円」です。
日本税理士会の統計
日本税理士会連合会が実施した調査結果は以下の通りです。
勤務税理士の平均年収は「約728万円」となります。
社員税理士 | 所属税理士 |
税理士法人の社員(役員のこと)。 | 会計事務所や税理士法人に雇用されている税理士。 |
平均年収886万円(3,459人の平均) | 平均年収597万円(4,163人の平均) |
厚生労働省の統計
また、厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」によれば、会計事務所などに努めている「サラリーマンの公認会計士・税理士」の平均年収は以下の通りです。
この統計は「公認会計士」のデータも入っています。
したがって、税理士の平均年収はここで算出された金額よりやや低くなると思われます。
勤務税理士の平均年収は「約750万円」といったところでしょうか。
なお、年収は以下の算式で計算しています。
男女合計 平均年収「公認会計士・税理士」 | |
2019年 | 694万円 |
2018年 | 933万円 |
2017年 | 1043万円 |
2016年 | 880万円 |
2015年 | 742万円 |
2015年~2019年の平均 | 858万円 |
転職エージェントの統計
こちらは、税理士や経理職に特化した転職エージェント「MS-Japan(エムエスジャパン)」が、公開している登録者(税理士)の年収データです。
首都圏・東海・関西圏と「都会」の勤務税理士の平均年収です。
したがって、全国平均にするとさらに低くなると予想されます。
登録者全体の平均年収は公表されていませんが、グラフを見る限り、平均年収は約700~800万円といった感じですね。

(出典:MS-Japan公式ホームページ)
勤務税理士の年収の決まり方
税理士事務所や税理士法人に勤務している勤務税理士の年収は、担当しているクライアントから「いくら売上高を上げるか」によって決まるケースがほとんどです。
仮に30社の顧問先を担当した場合「30社×50万円=1,500万円」。
1,500万円の売上が税理士事務所に入ってくるわけですが、そのうちどれだけを勤務税理士に分配するのかは税理士事務所によって変わってきます。
1,500万円の売上を獲得できたとすると、勤務税理士の年収は500~600万円くらいになるのではないかと思います。
ぶっちゃけ、税理士資格を持っていない職員と、勤務税理士との年収の差はそれほどないのが現実です。
要は、売上を上げて税理士事務所にどれだけ貢献したかが重要になってきます。
「勤務税理士ってたいしたことないな~」って思うかもしれませんが、重要なのはここからです!
先述のとおり、税理士の業界は超高齢化していて、60歳以上の割合が50%を超えています。
つまり、そろそろ引退時期を迎える税理士がかなりの人数いるのです。
しかも、後継者が決まっていない税理士事務所も結構あります、、、。
当然ですが、税理士業は税理士資格がなければ行うことができません。
なので、後継者がいない税理士事務所に勤めてる方は、将来的に先代のクライアントを引き継ぐ可能性も十分考えられます。
よって、収入が大きく跳ね上がる可能性もあります。
女性税理士の平均年収
女性税理士についても、開業税理士と勤務税理士が存在します。
女性の開業税理士については、上記の「開業税理士の所得は平均」を参照してください。
一方、女性勤務税理士に限定した年収について統計を出しているのは、厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」のみでした。
こちらの統計は公認会計士のデータも含まれています。
したがって、女性税理士の平均年収はもう少し低くなっていると予想されます。
そう考えると、女性勤務税理士の平均年収は「約600万円」といったところでしょうか。
女性 平均年収「公認会計士・税理士」 | |
2019年 | 516万円 |
2018年 | 862万円 |
2017年 | 1,041万円 |
2016年 | 725万円 |
2015年 | 610万円 |
2015年~2019年の平均 | 751万円 |
ちなみに、男性勤務税理士の平均は以下の通りです。
男性 平均年収「公認会計士・税理士」 | |
2019年 | 777万円 |
2018年 | 951万円 |
2017年 | 1,044万円 |
2016年 | 926万円 |
2015年 | 796万円 |
2015年~2019年の平均 | 899万円 |
税理士は「売り手市場」
税理士業界は深刻な人手不足に悩まされており、税理士や科目合格者にとって「売り手市場」となっています。
原因は、税理士試験の受験者数の減少にあります。
税理士試験の受験者数は2011年頃からどんどん減少していて、2021年(令和3年)の税理士試験の受験者数は27,299人。
2009年(51,479人)の53.0%にまで減少しています。
実施年 | 受験者数 (実人数) |
対2009年(%) |
2009年 第59回 | 51,479 | 100.0% |
2010年 第60回 | 51,468 | 100.0% |
2011年 第61回 | 49,510 | 96.2% |
2012年 第62回 | 48,123 | 93.5% |
2013年 第63回 | 45,337 | 88.1% |
2014年 第64回 | 41,031 | 79.7% |
2015年 第65回 | 38,175 | 74.2% |
2016年 第66回 | 35,589 | 69.1% |
2017年 第67回 | 32,974 | 64.1% |
2018年 第68回 | 30,850 | 59.9% |
2019年 第69回 | 29,779 | 57.8% |
2020年 第70回 | 26,673 | 51.8% |
2021年 第71回 | 27,299 | 53.0% |
今後も受験生が減る傾向にあると予想されるので、税理士業界の「売り手市場」の状態はしばらく続きそうです。
税理士試験は難しい試験ですが、チャレンジしてみる価値がある資格だと思います。
まとめ
- 税理士には「開業税理士」と「勤務税理士」がいるので、年収を見る時は注意が必要
- 開業税理士の所得は平均「約744万円」
- 勤務税理士の平均年収は「約700万円」
- 女性勤務税理士の平均年収は「約600万円」
- 税理士業界は売り手市場
2019年、経団連会長やトヨタ自動車の社長などの経済界の重鎮が相次いで「終身雇用の見直し」について言及しました。
終身雇用制度がいよいよ崩壊しつつあるので、開業して自分の力で稼ぐことができる税理士資格が見直されるかも。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
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